![]() 写真右からパイオニア野尻氏、筆者の生形氏、パイオニア若狭氏 ここでは今後3回に亘り、本誌筆者生形三郎氏を迎え 現生「開拓者」の存在意義を賭けたそのプロジェクトの全貌に迫る。 取材・文:生形三郎/写真:弘田充 ※Stereo2016年11月号から転載 存在意義を賭けた新たなる挑戦 この度、パイオニアから新たなるオーディオ・AV向けブランドがスタートする。その名も「Bonnes Notes」(ボンノート)。その第一弾製品となるノイズフィルター「DRESSING」(ドレッシング)が、ONTOMO MOOK付録として、先陣を切って発進されることとなった。
パイオニアと聞けば、カーナビから電話機まで、広範な製品を手掛ける世界的な大企業とのイメージがまず思い浮かぶ。その中で、本ブランドを展開するのは、インダストリアル・ソリューションズ部と呼ばれる部署だ。この部は、主に各種ドライブを手掛ける部署で、各社パソコン向けの内蔵ドライブ、レコーダー等のAV用ドライブ、アーカイブ用の業務用ドライブなどを開発するほか、スピーカー類の開発も行なっている。 ![]() 「Bonne=良い-Notes=音」を全ての人々に オーディオやAVを問わず、ファイルやストリーミングベースの再生スタイルが確立された現在、その再生・伝送過程におけるノイズ対策は、欠かせない存在である。その中で野尻氏には、これまでのアンプ設計等で培った技術を活かし、デジタル再生本来のいい音を広く届けたいという思いがあった。ハイレゾやファイルオーディオが火急的に普及する中で、ファイルオーディオを試しては見たものの結局求める音に出会えずファイル再生を敬遠してしまっている方や、パソコンや液晶テレビでオーディオヴィジュアルを楽しむ多くの方々に高音質・高画質、つまりは「Bonne Notes」を届けたいという願いが次第に高まっていったのだという。 ![]() 3割の人が分かってくれればいい しかしながら、当初ノイズフィルターは社内でことごとく反対にあったという。だが、いい音を届けたい、そして、我々現生パイオニアの存在意義とは何なのか? という問いに正面からぶつかり続けた野尻氏の熱意とプライドは、次第に周囲の人々を動かし始め、構想からなんと5年越しで実現に漕ぎ着けたのだという。自宅で100個近いサンプルを手作りして実験を繰り返し、それを持って社内を個人的にプレゼンして回り、賛同者を得ていったそう。実際筆者が最初に聴かせて頂いたデモ機も、既存のUSBケーブルのコネクタ部分を流用したハンドメイド品であった。まさにこれは、一人の人間が手作りで始めたプロジェクトなのである。 ・Bonnes Notesサイト ![]() ▼パイオニアのインダストリアル・ソリューションズ部が、その存在意義をかけたプロジェクトを始動。 新ブランド立役者が、その熱き思いを語る。 ![]() ▼この取材記事の続きはこちら ![]() ![]() |