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よみもの stereo
※「Stereo」2016年6月号より抜粋
Text=井上千岳 Photo=伊藤真司

ブラックキャットケーブル

――クリス・ソンモビーゴ。たとえその名を知らなくとも、「イルミナティ」「ステレオボックス」のケーブルといえばピンとくる方もいるかもしれない。そのケーブルを手がけていたのが、クリス氏なのである。

そのクリス氏が「ブラックキャットケーブル」を立ち上げ、オントモ・ヴィレッジ用に「特製リードチップ ブラックキャット Matrix AR-C3」を作ってくれた。これはどんな場所で、どんな風に作られているのかをここに紹介したい。




温泉地・またはリゾート地として再注目されている湯河原。相模湾を見下ろす高台はまるで別荘地だ。クリス氏の住居兼工房は、そんな最高の場所に構えられている。工房に入ると、何色もの糸を巻いた糸巻の並んだマシンが待ち受ける。糸状に巻いてあるのはナイロン。この糸巻が複雑に回転しながら、ナイロン製ケーブルジャッケット(外被)を編み出している。



その隣には同じマシンだが細い導線が仕掛けられおり、同じように糸巻が動いてチューブ状の編組(シールド)を作っている。つまり、ケーブル外被やシールドまでもがここで手作りされているのだ。芯線もまた、ここで作られる。エナメル線を数本撚るように組み合わせて作られる芯線を使用したラインケーブルが、最上位モデルとなるMatrix製品である。

ケーブルブランドといえば、大手のケーブルメーカーを別にすれば専門の電線メーカーに独自の仕様で作ってもらうのが一般的だという。機械的な精度という問題もさることながら、そもそもそれを手作りしようという設計者がいないからだ。ハンドメイドと称するものの大半は、どこかの協力工場から納品されたケーブルに端子を接続するというスタイルだろう。しかしながら、クリス氏は導体や絶縁体といった個人では作れないもの以外はすべて自分で製作している。



端子の接続もクリス氏自身によるもので、作業台で切れてしまいそうなほど細い導体を歯科医が持つような道具で器用にほぐしながら独特のノウハウでプラグにハンダづけしてゆく。



こうして作られた「ブラックキャットケーブル」は、クリス氏の豊富な知識と精密さによって作られる正真正銘のメイド・イン・ジャパンのハンドメイドブランドなのだ。



■ クリス・ソンモビーゴ Chris Sommovigo 略歴

1992年 イルミナティ・エレクトロニクス社から初の同軸デジタル・ケーブルが発売、米国ハイエンドで認められ高い評価を受ける。
1998年 ステレオボックス社設立、高い評価と人気を得る
2015年 家族と共にアメリカから神奈川県湯河原町へ移住


▲こちらはリードチップに使用している特殊純銅網線。
「AR-C3」は、これを3本撚りとしている市販品にはないオリジナル仕様。
しかも、価格は2本撚りと同じ。非常に繊細で、これを撚るのは尋常ならざる精密さと根気が必要そうだ。



「[セット商品] 特製リードチップ ブラックキャット Matrix AR-C3 付属 ヘッドシェル AR-HD1」購入はこちら


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■ 商品スペック ■

[ ヘッドシェル オーディオリファレンス AR-HD1 ]
・本体:アルミニウム合金削り出し
・コネクター:アルミニウム合金削り出し
・端子:金メッキ
・標準リードチップ:AWG-30
・自重:17g

[ 特製リードチップ ブラックキャット Matrix AR-C3 ]
・特殊純銅網線3本仕様

[ 付属品 ]
・カートリッジマウントネジ 4 本 / ナット 2 ヶ